べんがら格子に しだれ帯
巻きつけながら 外を見る
女の瞳は 半分だけ死んでいる
通りすがりの 冷やかし声に
意味ない微笑み 返すだけ
“ベロベロキャンディ およしよ” と
怒鳴られ陰で 舐めている
女の待ち人 底冷えの務所の中
添い寝したのに 手も触れないで
寝かしてくれた 人だった
牛鍋挟んで “故郷の様子をもっと教えてよ”
女は毎日 苛立たしく 空気噛む
仲間外れに 慣れたころ
私のいいひと 帰ってくる