彼女は忘れられない面影を残していた
ほんの少しの喜びや後悔さえ
僕の宝となるか
いつか払うべきツケになるだろう
彼女は夏が歌いかける歌のようだった
秋がもたらす寒気のようだった
ほんの一日の間に
100もの違う顔をしていた
彼女は美女か野獣のようだった
もしくは飢饉か宴会のようだった
一日を天国か地獄に変える
そんな力を宿しているかに思えた
彼女は僕の夢の鏡なのだろう
水面に映る笑顔
彼女は心の奥底とは違う
姿を持っていた
彼女は群衆に紛れ、いつも幸せそうにしていた
彼女の瞳は秘めやかながら、誇らしげだった
誰もが涙を流す時に
それらを見ることは許されなかった
彼女は報われない恋のようだった
過去の影から僕に近づいてくるようだった
死するその日まで、忘れることはできない
彼女こそが僕の生きる理由
そして今を生きている理由
たとえ茨の道だとしても
彼女と生涯を共にしたい
僕は彼女の笑顔も涙も、すべて持ち帰り
自分の為だけに取っておきたい
だって、彼女の行く所こそが僕の居場所
僕の生きる意味は彼女にあるのだから