菊(きく)の花(はな)の 褥(しとね)の中(なか)
夜明(よあ)けはあがく。私(わたし)に
鎮魂歌(レクイエム)を 届(とど)けようと。
その崇高(すうこう)な 詩篇(しへん)を
この臥所(ふしど)の 巌(いわお)の中(なか)
朽(く)ちはててゆく 我(わ)が生(せい)
罪(つみ)は、禁(きん)じられた欲(よく)は
希望(きぼう)、消滅(しょうめつ)、倦怠(けんたい)
けれど 永遠(えいえん)に
私(わたし)を 愛(あい)するのならば
ほおっておいて、どうか…
死(し)に絶(た)えた 天国(てんごく)
永(なが)い眠(ねむ)りが、とぐろを巻(ま)く
捨(す)てられた 天国(てんごく)
月影(つきかげ)の下(した)、身(み)を横(よこ)たえ
造(つく)られた 天国(てんごく)
禍々(まがまが)しさに、隔離(かくり)されて
死(し)ぬほどに 退屈(たいくつ)
死(し)ぬほどまでに 愛(あい)されつつ
斑(まだら)と化(か)し、閨(ねや)-碑(ひ)の中(なか)
読(よ)む物(もの)もない 私(わたし)は
今宵(こよい)、もはや口(くち)もきかず
ただ眠(ねむ)るだけ。闇夜(やみよ)の
褥(しとね)に
陰鬱(いんうつ)なる、墓(はか)の彼方(かなた)
ここは光(ひかり)のない 世界(くに)
墓碑(ぼひ)の銘(めい)が 厚(あつ)かましく
この悲(かな)しみに 応(こた)える