記憶の君に告ぐさよなら
隣に座ってた 恥ずかしがり屋
ありがとうって言う度に頬を染めてた
ふたりで考えた秘密の合図
離れても きっとすぐ分かるはず
新しい日々に巻かれるまま
届いたささやかな手紙を
ああ どうして
読みもしないで置き去ったんだろう
記憶の君に告ぐさよなら
長い髪が頬を隠すから
うまく調子が合わないんだ
君を誰より深く知っていたのに
隣の席の君は いない
まばらに継ぎ合わす 遠い思い出
一部だけ抜け落ちて どこか欠けてた
あの時口にした言葉はきっと
忘れてはいけなかった
それなのに
大人びた視線に透かされて
焦る心が浮き出しそう
ああ こんなに
子供染みてる自分が嫌だ
面影の残る横顔で
知らない笑顔を見せる君は
まるで平行世界の人
ぼんやりしてる間に
ずっと先まで 歩いていってしまう
背中追う足音
一度足を止めて
わずかに見せる唇のかたち
瞬く間に時間繋ぐ橋をかけた
隣の席の君はいない
大人になった君がひとり
記憶の君に告ぐさよなら
長い髪がとても似合うから
少し照れくさくなるけれど
君を誰より深く知っていくため
隣に座ってもいいかい