上手く笑う事なんて
できるはずもなかった
泣き笑い 君の声
届かない 僕の声
いつものように 眠る君は
もう 起きる事は無い
午前四時 示す針
もう 動かない
あぁ ついにきたんだな
覚悟はしてたのになぁ
堪えてた 涙が
溢れて 止まないや
白い白い この部屋は
想い出色 染まります
鳴り止まない 雨音
止んで 音雨
君が最後にくれた大切な言葉
「笑って?」が今も頭から離れない
布で覆われる 君の最後の表情は
安らかな笑顔 余計 悲しい
貰ってばかり
まだ何もしてないよ?
ねぇ 目を開けてよ
会いたくて もう会えなくて
まだ何処かに 笑ってる君が居そうな気がして
探してみるけど 何処にも居ない
本当に サヨナラなんだね
空は 涙色
君は もう箱の中
飾る 沢山の花
あ、もう行っちゃうんだね
君
送
黒い車
ゆら
ゆら
揺れる車内
ふわ
ふわ
昇る煙
ザー
ザー
雨音
白
黒
視界支配
チク
タク
刻む針
曖
昧
君の声
ざー
ざー
音雨
君が最後にくれた大切な言葉
「笑って?」 あの日 上手く笑えなかったから
もっと小さな箱になって帰ってきた君に
「おかえり」 笑いながら言ってやるんだ
頑張ったよね
誰より辛かったよね
もう 休んでいいから
分かってた 目を背けてた
「最期の時も笑顔でいよう」なんて約束も
果たす日が来ないようにって
強く願ってたんだ
会いたくて でも会えなくて
一番辛いはずの君は 笑顔で
僕に「笑って? そっちの方が素敵だよ」って何度も言った
だから
60年経ち また会う日まで
君の前では 悲しい顔はしないよ
笑って 向こうで会ったその時には
君の好きな この笑顔を見せるよ