四百余州をこぞる
十万余騎の敵
国難ここにみる
弘安四年夏の頃
なんぞ怖れんわれに
鎌倉男子あり
正義武断の名
一喝して世に示す
多々良浜辺の戎夷
そはなに蒙古勢
傲慢無礼もの
倶に天を戴かず
いでや進みて忠義に
鍛えしわがかいな
ここぞ国のため
日本刀を試しみん
こころ筑紫の海に
浪おしわけてゆく
ますら猛夫の身
仇を討ち還らずば
死して護国の鬼と
誓いし箱崎の
神ぞ知ろし召す
大和魂いさぎよし
天は怒りて海は
逆巻く大浪に
国に仇をなす
十余万の蒙古勢は
底の藻屑と消えて
残るは唯三人
いつしか雲はれて
玄界灘月清し