キャンバスの上へ筆を走らせ
あの人の絵を描いた
思い出の隅にあるこの顔には
もう会えない ずっと
変わってしまったのは いつからだっただろうか
あなたがあなたのままなら 違う結末だったかも
なんて 今さらだね
――絵の中の君はもういない
君の顔が好きだったわけじゃない
それでもずっと描き続けた
いつしか部屋は君の似顔絵で満たされた
求めたのは君の顔じゃない
ありのままの本当の君
だけどね 君も私もその事に気づけなかった
燃やされた肖像画
「この顔は嫌いだ」と君は言った
本当に醜かったのは
君の顔じゃなく きっと……
浅はかな考えで 君の事馬鹿にした
次に会った時あなたは 違う人になっていた
そう まるで別人だった
――絵の中の君はもういない
たとえ君が思い出の記憶と
違ったとしても 幸せならば
それでもいいのかもしれないと思っていた
変わる事が悪いわけじゃない
でも本当に必要なのは
変われない自分も受け入れるという事 気づけなかった
君は生き続ける
私の描いた絵の中で
それがたとえ君の望んでいた姿ではないとしても
そう君があの時
最後に言おうとしていた言葉
それがなんだかは分かっている
ずっと前から知ってた
君の事が好きだったかもしれない
だからずっと描き続けた
いつしか部屋は君の思い出で満たされた
求めたのは君の顔じゃない
ありのままの本当の君
だけどね 君も私もその事に気づけなかった