ぼくの仕事はうまくいっている
恋愛もうまくいっている
しょっちゅう秘書を変える
ぼくのオフィスは高層の最上階
ここからは街が逆さに見える
ここからぼくは世界を好きにできる
ぼくは人生の半分を飛行機ですごした
ニューヨークとシンガポールの間で
ぼくはいつもファーストクラスで行く
ぼくはセカンドハウスを持っている
世界中のヒルトンに
貧乏なんてがまんできない
ぼくは幸福じゃない でも幸福に見えるだろう
ぼくはユーモアのセンスをなくした
ビジネスのセンスを獲得した時に
ぼくは成功しそのことを誇りに思う
ただひとつだけ後悔しているのは
自分がしたかったことをしなかったということ
ぼくはアーティストになりたかった
自分のショーができるような
飛行機が着陸する時
ロッテルダムかリオで
ぼくは歌手になりたかった
自分が誰なのか叫べるような
ぼくは俳優になりたかった
自分の人生を作りだせるような
ぼくは俳優になりたかった
毎日肌の色を変えられるような
そして自分を美しいと思えるような
大きなカラ―のスクリーンの上で
ぼくは芸術家になりたかった
アナーキストになりたかった
そして億万長者のように生きたかった
ぼくは芸術家になりたかった
世界をもう一度作りなおせるような
なぜぼくが存在するのか語れるような