際立って透明な 霜が降りる頃 鴉の目玉は瑠璃色
凍てつく寄る辺ない夜を 忌々しく睨み続けたから
街へ降りれば石を投げられて 森では鼻摘まみ者
ほとほと疲れて逃げ込む 納屋で憂鬱を育てた
愛されたいと願うことを 恥じてしまうには十分だった
この長い孤独は
この羽根が黒く染まってしまったのは
妬みで黒ずんだ泉に浸したから
声が酷くしゃがれてしまったのは
憎たらしい人生を 夜通し罵り続けたから
失意のほとりで 出会ったあの人は
桑の実の紅い目玉と白い羽根
陽の光集め 故郷へ帰る旅路の途中
普通じゃないのは人と違うから
人と違う二人が揃えば 僕らだけの普通
その羽根が白く空にはためくのは
故郷の雪景色の天鵞絨を纏うから
僕らきっとどこか似ていた
それはこの地上で 同じ痛みに集うから
「ここにいるべきじゃないよ もっと相応しい場所があるよ」
君はそう言い旅に戻った 白い羽根が空に際立った
同じ色に交れば普通で 他に交れば僕ら除け者
所在変われど僕は変わらず僕である この羽根と等しく
そんな僕を僕は誇るよ
この羽根が黒く 忌まわしくはためくのは
僕が僕である痛みに羽ばたくから
声が酷く耳障りなのは
憎たらしい人生を 未だに罵り続けるから
際立って透明な 霜が降りる頃 白鳥の目玉は紅色
旅路のもの懐かしさと 別れた人に泣き腫らすから