指先に触れたのは、アリカントの歯。
赤い血に竦んだ、この子の瞳。
何故飛べないの。輝く、その羽根は、
私の錆から、銅(あか)く染まる。
金色の扉には、無数の穴が空く、
銀色の格子を、この子が食べる。
閉じ込められた私を哀れんで、
飛べないこの子が、私を刺す。
鋭い体、この背に滴る血、
涙で錆びる、この子の体。