体と心とが、離れてしまった。居直れ我が生命よ。
現と夢の往来。行き交う途中で、居堪れない過去ども此処に消えろ。
(木枯の喧噪に二人紛れ込んでいたらば、如何して互いを見出せようか。)
とても叶わない。見分けがつかない。若かりし日、統べてを握った利き手も
草臥れて居る。
噫…充たされないで、識らないで、追い掛ける影の美しさよ。皆まで言うな。
憧れ続けていた筈の、孤独と自由が首を絞める。
なんてこの世は果てしないのだろう。
言葉と感覚が、結ばれぬまま。居直れ我が生命よ。
現と夢の反芻。繰り返す体で、知る由もない未来ごと此処に失せろ。
(新緑の平穏にただ浮き足立っていたらば、あらたな己に出会せようか。)
最早何ぶん諸々を聞き飽きて居る。
噫…囚われないで、云わないで、為遂げる光のしなやかさよ。至らなかった。
忌み嫌い続けていた筈の、無欲と空虚が胸を占める。
なんてこの身は頼りないのだろう。
あまりに何も無い。