揺れる三日月の軋む音で目覚める結晶の街
凍る瞳がそのただ一瞬を捉え続ける
「風が無ければ舞えない」そう微笑う枯花を手折って
灯る星の誘うままに独つ逸れる影の仄か
小瓶に詰めた約束を大事そうに抱えて
いったい何処を目指して歩いて来たんだろう?
今夜、月の欠ける速度で
短針の遠回る銀の空
なぜか明日になればこの街も
僕の名を忘れている気がして
止めない雪に諭されては翅を放す硝子の蝶
見上げた透明な世界は黙ったまま動こうとせずに
帰り道が分からなくて困る僕の手を引いて
いったい何時を夢見て憶えていくんだろう?
今夜、月の溶ける温度で
氷柱が涙を落とす瞬間
「僕も一緒に泣いてあげる」と
優しい誰かになれるでしょうか
今夜、月の欠ける速度で
短針の遠回る銀の空
きっと明日になればこの街も
僕がいたことさえ忘れて
今夜、月の溶ける温度で
氷柱が涙を落とす瞬間
「僕も一緒に泣いてあげる」と
優しい誰かになれるでしょうか