玉瑛の籠の中
沖慕い 人魚わたしには
影しか見えない存在は
無限か無常か
風景の万華鏡
栄える美しさも
見れば見るほど
巡り巡れど
ただ蒼ざめて
知らぬ渚の方へ
一歩踏み出したら
泡となって 溶けちゃっても
自由になれるかな
夜明く 光放つ朝日に
浴びたい 鱗捨てて
時を刻み始め 一息
空気に満ち 人魚わたし
雨を招く香りと
風を呼ぶ空の音
万象の色に彩られた
私は気付く
不安の奥底に
沈まれたこの目は
振り返らぬ 前も見えず
波間に淀むだけ
黄昏に委ねて
玉瑛の鎖
今 砕いて
星空の流れに
時間流されて
生き始め
独りでいても
前と同じように
寂しくない
水明かりに揺れる
満月 儚く
魂うろこ照らせ…
世明く 光映す月光に
浴びたい 鱗忘れ
夢が盛り始め 一時
命に満ち 私