黒猫が歩く夜に愛の歌を並べて
幻覚に溺れそうな足跡を辿っている
擦れたガラスの破片を集めるような素振りで
千切れそうな群青の景色をずっと見ている
凍えそうな左の手をかざして
ずっと遠くから差し込む光の束に
何も見えないような影があって
せせらぎの音に反射した記憶
吸い込まれて全部音楽に変わる
ねえ、この世界が汚れたとして大切なもの全部なくしても
あの日のこと思い出すことだけはずっと忘れないで、と
ねえ、あの光の向こう側まで着いたらあの人に伝えてほしい
願うように何もない空間にただ右手伸ばした
少しずつほどけていく言葉を蜜に変えて
すっかり気の抜けきったソーダ水に混ぜ込んだ
擦れたガラスの破片を集めるような素振りで
千切れそうな群青の景色をずっと見ている
ねえ、この世界が汚れたとして大切なもの全部なくしても
あの日のこと思い出すことだけはずっと忘れないで、と
ねえ、あの光の向こう側まで着いたらあの人に伝えてほしい
願うように何もない空間にただ右手伸ばした
ねえ、少しずつ白んでゆく宇宙のかたちに恋は似ているから
願うように何もない空間にただ右手伸ばした
ずっと遠くから差し込む光の束に
どこかで見たような影があって