宵の淵に腰掛け物思い
街は馴れ馴れしかった、当時
でも、親しい顔すれば素通り
脆い思い出は溶けてしまった氷
彼はキスした手首の傷に
朝日に素面の顔は気まずい
目の下のクマは黒い三日月
温いシーツに香りの名残はずるい
外と隔離した部屋で 飲み干す傷病手当
現実に悪酔い どうせ咲かぬ蕾
間引かれるなら どうか私から
はしゃいだ分だけ寂しい
空虚に化粧ほどこし
夕映えが最後に
頬を赤く染めてくれる
そしたら綺麗と言って
良かったころの思い出
口を塞いで黙らせて
今だけ見ろって
ア ア ア
アルカホール
フォール
バスではいつも汗が酷い
焦る日ほど信号は黄色い
ミーティングで静寂に身じろぎ
動悸 他人はいつも私には遠い
はみ出した者が泣く
だからどうとかじゃなく
諦めていい 理由には十分
宛名ない速達で黒が来る
幼い頃ママが言った
「あなたは天使だ」って
だから天国をスリップして
この部屋に落ちた
すでに羽根もがれたけど
今さら飛ぶ気もないの
だからなんだって言うの
ただ一つ、ママごめんね
ア ア ア
アルカホール
フォール
軽薄な喧騒と耳つんざく音楽
その波にさらわれて全部忘れたはず
こんな夜の孤独とか
いつかの綺麗なキスとか
夜遊びの冬の匂いとか
笑ったはずの季節とか
朝方打ち上げられて
顔を覆って泣いてる
記憶の死骸達でアクセサリー作って
「綺麗でしょ?」「綺麗でしょ?」
ってずっと泣いてる
あの子は誰だっけ?なんて私に聞かないで
寂しい分だけはしゃいで
後ろめたさあしらえば
無邪気な顔の夜が
全て匿ってくれる
そしたら綺麗と言って
こんな惨めな私を
口を塞いで黙らせて
全部夢だって
ア ア ア
アルカホール
フォール