訊かずに欲しい 何故なのか
あの夜ー
ただ行きずりの 車を止めて
暗いシートに 身を沈ませば
見上げる月は 白い
追われる男と あてのない女は
言葉もかわさず
それだけで 判りあえた
訊かずに欲しい 何故なのか
あの朝ー
灼けつく砂丘に 身体を投げて
渇いた風を 抱きしめながら
みつめる海は 遠い
愛捨てた男と 愛知らぬ女は
微笑みかわして
それだけで 信じあえた
訊かずに欲しい 何故なのか
あの時ー
追われ疲れた 男の影を
白い素足で 踏みしめながら
黒い引金 引いた
血まみれ男と 傷つけた女は
手を差しの出逢い
それだけが 全てだった