僕に対して、君は(こう)言う。私たち二人は恋人同士だったと。そして、私たちは、大事なことをしながら、一緒に暮らすことになったのだと。
僕は、彼女が言うことは、違うんじゃないかと思う。僕は、ずっと前から、愛されていないし、それに、結局、僕に残されたのは、ぼやけた思い出(だけ)なのだから。
君(だって)、僕に話してたよね。
行かないでって、僕は(懸命に)君にお願いしてたのに。でも(そして)、君がいなくなって、僕の心に、春(の季節)はなくなってしまったんだ。
僕は、その辺りを、バーからバーへ、彼女を忘れることができずに、泣きながら歩き回った。彼女が誓った言葉を思い出そうとして、ひどく、無駄遣いしながら。
ごめんなさい。僕は彼女を傷つけたくありません。多分、彼女が僕に言ったことは本当でしょう。彼女と反対のことを言ってごめんなさい。でも僕は。 いや、僕は(彼女のことなんか、もう)覚えていませんよ。