カルデネの前の景色を
誰が見たというのさ
目の前に居る あの子の
虹彩を呑み込んだ
知らないことを訊いてくるのは
誰かの悪い癖だ
昨日の駅で買ったキャンドル
何故だか火がつかない
知らないことを隠したいのは
あなたと話したいから
携帯電話を見たくないのは
何かが呼んでるから
カルデネの最期だったら?
僕はどうするんだろう
あなたが望む景色を
見せてあげられるだろうか
見えないものを感じ取るのは
僕には出来やしなくて
昨日の駅で飲んだ珈琲
誰かの真似をしたんだ
あなたの腕に縋りたいのは
ミルクを注ぐのと似ている
携帯電話に見向きもしないで
マドラーを回す時間が好きだよ
カルデネの愛を呑んだら
僕はどうなるんだろう
歪んだ灰色の空を
見せてあげられるだろうか
カルデネの前の景色を
誰が見たというのさ
知らないふりも出来ないからさ
嘘を吐いたのだろう
カルデネは息をする
ジュピタの記憶の終末で
あなたが知らぬ景色は
僕を見ていられるだろうか